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プログラミングの楽しさと厳しさ

プログラミングの楽しさと厳しさ

以前、バリスタ(電子セラミック部品のひとつで電圧非直線抵抗素子のこと)の開発に携わったことを書いた。材料開発もそうだが、サンプルの特性をきちんと正確に評価できる測定技術もまた必要になってくるのである。

 

当時、まだパソコン(PC)は8ビットであって、マイコンとも呼ばれてもいた時代のことである。バリスタの特性評価のひとつに、一定の電流を流したときの電圧降下を測定するという操作がある。この測定制御をコンピュータ(PC)を用いて行おうというものであった。

 

定電流電源をソフトウェアで操作し、電圧計で電圧を測定するのであるが、その値は数千ボルトにも達する場合がある。安全装置をつけて、しかも十分な接地を行なって、万が一にも感電事故などが起こらないようにしなくてはならない。

 

この測定制御プログラムを作成したときのことを少し書いてみようとおもう。

 

バリスタのサンプルは、例えて言えば、セラミックの円板の上下に電極を取り付けた形状であって、これらを銅板の上に整列させて並べておき、電源の接地側に接続しておく。

 

電源の高圧端子側を絶縁体でうまく絶縁して、ハンドリングできるようにし、プロッタのペンのかわりに取り付けて、ソフトウェアで、指定したX座標、Y座標の位置に動かし、サンプルの上部に取り付けた電極に接触させる。そして、定電流電源を駆動させて、一定の電流を流し、電圧計に表示された値を読み込む。そして、電流値を変えるか、X、Y座標を指定し直して再度測定するか、という操作を繰り返す、というシーケンスである。

 

このような内容のコーディングを行なったのである。

 

問題点は多くあったが、いちばんの問題は、コンピュータの誤動作であった。

 

8ビットマイコンは、一応、BASICという言語でソフトのコーディングができた。いろんな処理をサブルーチンに書き上げて、メインのプログラムから呼び出し処理をするのであるが、ときどき、誤動作でフリーズすることがあった。

 

原因は、ノイズだとおもわれた。端子が接触し数千ボルトのON/OFFをするときに、ノイズが発生するのか、それとも外来のノイズだったのか、とにかく途中で止まってしまう。

 

どこで止まるのかを観察していると、測定制御プログラムのメインルーチンからサブルーチンに制御が移り、実行処理の後、メインルーチンに戻れなくなっている。ノイズで、コンピュータのメモリのスタック領域が壊れているのだと気づいた。

 

そこで、重要な処理はすべてメインルーチンに書くようにした。簡単な計算などはサブルーチンに書いてもよいが、安全に行うべき高電圧のON/OFFやデータの読み込みなどは、メインルーチンに書くようにしたのである。

 

ようやく、誤動作せずに測定系が正常動作したときは、正直ほっとしたのであった。

 

もちろん、現代は、コンピュータも32ビットや64ビットが主であり、コーディングソフトウェアも進化しているはずなので、こんなことは滅多にないとおもわれる。

 

プログラミングは楽しい面もあるが厳しい面もある。こんな経験をさせてもらったことも、いまでは懐かしい想い出のひとつになっている。

 

(2010-1-21)

 

心に残る「YELL」

  • 音楽
心に残る「YELL」

最近、よく聞くうたのひとつに、"いきものがかり"というアーティストのグループの「YELL」という曲がある。昨年末の紅白歌合戦でも紹介されたらしい。たまたま先日アクセスしたYahoo Musicのランキングで、よく視聴される曲のJPOP一位になっていた。

 

この曲は、これから新しい道に進もうとする人々に「エール」を贈るというような内容の歌詞であったとおもうが、良い作品だとおもう。卒業シーズンが近づくと、流行るのだろうか。どの世代の者にとっても、ある者は遠い昔を想い起こし、またある者はつい先日に体験したような感覚で、不思議に惹き込まれるような曲である。

 

卒業式はひとつの区切りに過ぎない。しかし、そこから未知の大海に一歩踏み出すためのマイルストーンなのである。

 

卒業ソングといえば、昔は「蛍の光」「仰げば尊し」が定番であったが、「贈る言葉」がいっとき歌われた時代があった。最近では、川嶋あいの「旅立ちの日に...」なども卒業ソングのひとつであった。現代の中学校や高校の卒業式は、卒業生と在校生とが、互いにうたを贈り、交換をするという形式が採用されていることも多いと聞いている。このような場で歌われることもあるのだろうとおもう。

 

心に残るうたは、なにか人を惹きつける「ちから」を持っている。励まされることもある。特に、卒業に関するうたは、人生のマイルストンにあたる時に存在する人々(自分自身も含めて)を励ます「ちから」を持っているのだろうか。長い人生の中で、いつかその意味を振り返り、原点に戻って、見つめ直す時がくるのだろうか。

 

(2010-01-18)

 

ブルーグラスバンド「座・SPACE」

  • 音楽
ブルーグラスバンド「座・SPACE」

11月の終わりに、誘われて、公民館でのコンサートに出かけた。公民館では、毎年、なにかのコンサートを行っているのだそうだが、今回は、ブルーグラスバンドのコンサートである。

 

ブルーグラスとは、アメリカ南部生まれの音楽で、バンジョー、ギター、マンドリン、フィドルと呼ばれるバイオリン、ベース、ハープやハーモニカなどの電気を使わないいわゆるアコースティック楽器を用いて演奏される。

 

聴いて見て、私も聞いたことのある楽曲が多かった。また、演奏者の進行もうまく、参加者を楽しませてくれた。

 

今回の演奏者は、メンバーの多くが団塊世代の「オヤジ」ばかり、さらにメンバーの多くが座間(神奈川県座間市)生まれの座間育ちで、小学校も中学校も同じという深い絆で結ばれたバンドであるという。

 

もともとは、23年前に市民ふるさとまつりにバンドとして参加しようというのが始まりで、結成当初は名前がなかったが、キャンプ座間での交流演奏会のときに感謝状を贈られることになり、その場で座間の「座」とスペース「間」ということばをもじって、「座・スペース」と名付けたという。

 

曲目は、次のようなものであった。

 

・アイムオンマイウェイ

・草競馬

・テネシーワルツ

・カントリーロード

・デイブレークインデキシー

・大きな古時計

・ロングゴーン

・ラグタイムアニー

・アイワンダー

・トールパイン

・聖者の行進

・フォギーマウントブレークダウン

・ブルーリッチキャビンホーム

・スワニー川

・ウイルユービーアナザーマン

・リトルキャビンホーム

・レッドウィング

・アメイジンググレース

・ローリングマイスイート

・アニーローリー

・ウィルザサークルビーアンブロークン

・小さな世界

・この町の青い空

・ディアオールドデキシー

 

リズムに乗りやすい曲が多く、参加者みんなで歌うこともできるものも多かったので、とても楽しむことができた。いろんなジャンルの音楽があるが、ときには、このようなカントリーミュージックも聴き応えがあり、良いものだなと感じたのであった。

 

「座・SPACE」のメンバーの方々は、中高年から始めたので、「無理をせず楽しく」をモットーに、こだわらず自分たちのできるスタンスで楽しんで演奏しているという。すばらしいことである。

 

(2009-12-29)

 

街角で聴いた歌ごえ

  • 音楽
街角で聴いた歌ごえ

12月のある日の夜、所用でM駅の駅前を通りかかったとき、ある一人の女性ボーカリストが路上でライブを行っている場面に出くわした。ふだんならあまり気にも止めずに、そのまま行ってしまうのだが、たまたま聴いた歌がなぜか妙に心に残った。なにか波長が合うものがあったのだろう。そして、ほんの数曲だが、立ち止まって聴いてしまったのであった。

 

そのときいただいたリーフレットには、「A for Real」とあり、遊び心とオリジナリティを追求した楽曲を多数制作し、それをもとに路上ライブを行っていると記してあった。メンバーは、mizuki(vocal)とnaoki(ba)で、その日は、たまたま、ひとりライブとなってしまったらしい。

 

リーフレット

 

CDも自主制作されたとのことで、1枚買い求めた。後で、自宅に帰り、聴いてみたが、なかなかいいものである。「for the sky」、「未完成な果実」、「恋空」など、それぞれ心に響くものがあった。あまりテンポの速い曲はよくわからないところもあったが、彼女の歌声がそれをカバーしているような気がした。

 

いろんなところ(地域・駅前?)で活動をされているようなので、またどこかで会えるかもしれない。ますますの活躍を期待したい。

 

アルバム real to heavy real

 

■ A for Real のホームページ(携帯電話でもアクセス可能)は、

みずっきぃのホームページ [魔法のiらんど]

 

(2009-12-20)

 

 

 

 

展示会で見つけた「バリスタ」

  • 体験
展示会で見つけた「バリスタ」

10月の初めに、CEATEC JAPANという展示会があり、ことしは土曜日が入場無料ということもあって出かけてみた。仕事半分、個人的な興味半分ではあるが、会場が広かったこともあり、ほぼ四・五時間をかけてあちこちを見ていた。

 

通信分野の展示エリアでは、携帯電話のキャリアの展示とか、モバイルコンピュータの展示とかがあって興味深いものであった。PCのデザインもさまざま、かわいいアニメのキャラクタをデザインしたPCなども展示されていた。新しいOSも、ソフトウェアの展示も、また、目を引いた。

 

電子黒板のデモ  キティちゃんがPCに

 

大型テレビの展示エリアは、見学の人々が多く、あちこちに待ち行列が目についた。また、電子部品の展示エリアも、私には興味深いものがあった。

 

ある電子部品の会社のブースで懐かしいものを見つけた。昔ながらのリード付き電子部品のひとつで「バリスタ」とよばれているものである。

 

二十年ほど前、ニューセラミックスの時代がやってきたと世間が騒いでいた頃があったが、私は、その頃に仕事で携わったことがある「バリスタ」を思い出していた。

 

バリスタは電圧非直線抵抗素子ともよばれている。

 

オームの法則は、抵抗素子に電圧を印加すると電流が流れるが、このとき、電流は電圧に比例し、その比例係数が抵抗値である、というようにいうことができるが、ふつうの抵抗素子では、抵抗値は電圧の大小によりほとんど変化しない。

 

しかし、この抵抗値が電圧により大きく変化する性質をもっている素子が非直線抵抗素子、「バリスタ」なのである。

 

身近なところでは、テレビの内部の電源回路のそばにおかれている。直径5ミリから10ミリメートルくらいの大きさの円板型の部品である。

 

ふつうの100Vの電圧では、ほとんど電流を流さない(抵抗値が高い)が、雷などの外来ノイズで異常に高い電圧になったときには、電流を流して(抵抗値をうんと低くして)中の回路を守る(保護する)働きをするのである。半導体の仲間である。

 

また、大きなところで言えば、変電所などに避雷器が設置されているが、この避雷器の中にも使われているのである。

 

バリスタにもいろいろな材料があるが、私が昔、携わったのは、酸化亜鉛を主成分とする電子セラミックスであった。

 

酸化亜鉛は、化粧品の「おしろい」の原料としても良く知られている。この主成分に、ごくわずかの成分を加えて、混合し、プレス成形して焼結する。ここまでのつくりかたは、いわゆる陶磁器と基本的には同じである。そして、電極として銀ペーストを焼き付けて、リード線を取り付け、周囲を樹脂で被覆して製品としてできあがる。

 

詳しい製法は、いろいろな文献や特許にあるので、ここでは触れないが、焼結後に炉から取り出すとき、そして電極を取り付けて、電気的な性質を測定評価するときは、いちばん緊張が高まるときである。設計どおりのものが得られたときはうれしいが、期待はずれのときもあった。おもいがけない珍しい現象に出くわしたときもあった。

 

「バリスタ」は、私にとって、製品開発のおもしろさ、楽しさと一方で厳しさを経験させていただいた最初の電子部品であった。二十年ほど前に携わったセラミック電子部品が、いまでもあるメーカーで作り続けられ立派に機能していることは、うれしさ以外のなにものでもない。

 

このようなおもしろさは、実際に足を運んでみないとわからないかもしれない。

 

展示会では、通信・電話やコンピュータ関係の展示が多くあった。また機会を見て載せたいとおもっている。

 

展示会では、このような光景も多く見られた.....。

 

(2009-11-18)