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データ復元ソフト「AnyRecover」を使ってみて

1. はじめに

 

この夏のとある日、このサイトあてにメールをいただきました。

株式会社iMyFoneのソフトウェア製品であるデータ復元ソフト「AnyRecover」のレビューをしていただけないかというものでした。

 

通常はインターネット上に他の方々がお書きになったレビュー記事がいくつも見つかるので、その都度丁重にお断りをしています。

 

ですが、この製品「AnyRecover」についてはレビュー記事が少なく、よくわかりませんでした。[1]

 

そこで、せっかくの機会をいただいたので、使った感想をありのままに書いてみようとおもいます。

 

結論としては、非常にわかりやすく使いやすいソフトウェアでした。ただ、難点がいくつかありましたので後述します。

 

 

2. とんなソフトウェアなのか?

 

株式会社iMyFoneの製品「AnyRecover」はハードディスク(HDD)、USBフラッシュドライブ、SDカード、固体ディスク(SSD)、カメラなどのデータを復元できるソフトで、Windows版とMac版があるとのことでした。

 

■Windows版:
https://jp.imyfone.com/data-recovery/

 

■Mac版:
https://jp.imyfone.com/data-recovery-mac/

 

また、使用方法は次のサイトに丁寧にわかりやすく説明されています。[2]

 

■使用ガイド
https://jp.imyfone.com/data-recovery/guide/

 

これらを参考にして、実際にこのデータ復元ソフト「AnyRecover」を試してみました。

 

 

 

3. USBメモリで試してみたら...

 

こちらの手持ちのパソコンはWindowsなので、今回はWindows版を使いました。

 

使用した環境は、

・PC: Dynabook Satelite PB552FEA127A51 (Toshiba)

・CPU: Core i5-3210M (Intel) 、実装メモリ: 10GB

・OS: Windows10 ver.21H1、 64-bit

です。

 

 

また、データ復元の対象として、4GBのUSBメモリで試してみました。このUSBメモリは10年ほど前に、データを入れていたのを全て削除して空の状態にして保管していたものです。

 

まず、無料体験版ソフトのインストールは、
https://jp.imyfone.com/data-recovery/
から、「無料ダウンロード」を選択して、普通にインストールしました。

 

いったん保存してから、ダブルクリックします。

 

使用許諾契約に同意にチェックを入れて、インストールのボタンを押します。

 

しばらく待ちます。


......

 

インストールは特に問題なく終了しました。

 

データ復元対象の4GBのUSBメモリは、Windowsのエクスプローラでファイルが存在しないことを確認してから、このデータ復元ソフトで、どの程度復元できるかを試してみました。

 

 

 

途中の経過を表示しながら進んでいきました。

 

完了したら、OKボタンを押します。

 

結果は、忘れていたいろいろなファイルが出てきました。

4GBのUSBメモリですが、表示された復元候補ファイルのサイズの合計は約8GBでした。
おそらく二重に表示されているとおもわれました。

 

ここで、復元したいファイルにチェックを入れて、復元したファイルの置き場をデスクトップ上にフォルダを作りそこに格納することにします。

 

 

なお、復元したファイルの置き場は、復元しようとするファイルが入っている場所とは別の場所を指定したほうが良いです。同じひとつのハードディスクでも、別々のパーティションにするとか、外付けのUSBメモリを用意するとかして作業するほうが良いです。

 

ひとまず、3個のそれらしきファイルを選択し、復元ボタンを押しました。

 

結果は、問題なく、ファイルが復元できました。

 

 

 

そこで、さらに、ファイルを復元しようとすると、「無料で復元可能なファイルは残り0個。」と表示され、復元できませんでした。

 

対象ファイルのリストは全部表示されるので探しやすいのですが、残念な点としては、無料ダウンロードしたままだけだと復元できるファイル数が3個までしかできないという点です。

 

また、削除してからあまりに時間が経過したものは復元ができない場合があるようです。

 

いくら無料体験版といっても、個人的には、もう少し復元できるファイルの数が多いとうれしいのですが。

選択間違いや失敗もあると思うので、例えば、無料で最初は20個のファイル復元可能くらいはほしいものです。

 

 

4. 使うためにかかる費用は?

 

さて、無料ダウンロードしたままの体験版だけだと復元できるファイル数が3個までしかできないという点の解決方法ですが、SNSでシェアするとさらに5個までできるようになるとのことです。

 

しかし、これだけ(3個+5個=8個まで)では充分ではない場合もあるでしょうから、その場合はライセンスを購入するということになります。

 

そこで、試しに「今すぐ購入」というボタンを押してみました。

 

ホームページの記載によれば、ライセンスは3種類あり、Windows版の割引後の価格で

・月間ライセンス 4,980円 (税込)

・年間ライセンス 5,980円 (税込)

・永久ライセンス 7,980円 (税込)

となっていました。

 

 

いったん、このソフトを終了し、再度、起動させてみました。

 

このときに、簡単なアンケートがありました。

 

 

無料ダウンロードをしてファイル3個まで復元した後に、このソフトをアンインストールしてみました。
すると、特別のオファーが表示されました。

 

 

12時間以内の限定オファーで、

・月間プラン 39.95ドル (1ドル110円換算として 4,395円)

とありました。

個人的には、まあ、リーズナブルな価格だとおもわれます。

 

これらの価格が高いか安いかは、ファイル復元を必要とする作業が一年間にどのくらいの割合で発生するか、また、一回の作業でいくつのファイルの復元が必要になるか、など、リスクと使用頻度を考慮してのことになります。

 

めったに発生しないのであれば、とりあえず無料体験版をインストールしておいて、必要な状況が発生した時点でライセンス購入してもよいのかなとおもいます。

 

ちなみに、無料体験版「AnyRecover」を一回アンインストールしてから、再度、同じパソコンに無料体験版「AnyRecover」をインストールしてみました。

 

復元候補ファイルが表示されるまでは、同じようにプログラムが進み、対象ファイルのリストは全部表示されました。

しかし、復元したいファイルを選択し、復元ボタンを押しても、「無料で復元可能なファイルは残り0個。」と表示され、復元できませんでした。

 

一度、パソコンに無料体験版をインストールし、3個までの復元可能な個数を使い切ってしまうと、同じパソコンではもうできないようです。使いたい場合はライセンスを購入するということになります。

 

 

5. まとめ

 

ここで、まとめです。

 

1. Windows版とMac版がある。

 

2. Windows版の無料ダウンロード(無料体験版)を試用した結果、3個までのファイルの復元には使える。

これ以上の数のファイル復元にはライセンス購入が必要。

 

3. 復元したファイルの置き場として、パソコン本体のデスクトップ領域を使用するので、パソコン本体のハードディスク容量は大きいほうが良い。

 

4. 復元されるファイルのサイズは、予想の約2倍のサイズに表示される。つまり、内容が同じファイルが複数できているようにみえる。

 

5. とりあえず無料体験版をインストールしておいて、必要な状況が発生した時点でライセンス購入したらどうか。

 

以上、使ってみての感想でした。個人的には、もう少し復元できるファイルの数が多いとうれしいのですが。

 

 

(2021-8-27)

 

 

 

 

References

 

[1] 削除してしまったデータを復旧するソフト『iMyFone-AnyRecover』を試す。ゴミ箱・HDD・SDカード対応

https://pctextbook.com/imyfone-anyrecover/

 

[2] データ復元ソフト「AnyRecover」使用ガイド

https://jp.imyfone.com/data-recovery/guide/

 

 

 

詐欺メールはどこからやってくるのか?

本物そっくりの詐欺メールがたくさん届くようになってきました。ふつうは、これらの詐欺メールは、プロバイダの電子メールシステムの選別機能(フィルタ)が働いて「迷惑メールフォルダ」に届くようになっているはずですが、なかには、巧妙にフィルタをすり抜けて、通常の「受信箱」に届くものがあります。

 

いったいこれらの詐欺メールはどこからやってくるのでしょうか?

 

ここでは、当方あてに通常の「受信箱」に届いたこれらの詐欺メールを、メールヘッダーから解析して、アドレスやサーバーなどのWHOIS情報を参考に、分類してみたので、その結果を記述します。

 

対象のメールは、2021年1月1日から5月27日までのおよそ5か月の期間に、本来「迷惑メールフォルダ」行きのはずであるが何らかの理由で通常の「受信箱」に届いた詐欺メール167件です。(実際の「迷惑メールフォルダ」に届いた詐欺メールは、この十倍から数十倍以上はあります。その一部が漏れて「受信箱」に入ってしまったと考えています。)

 

なお、ここでは、詐欺メールの見分け方の詳細や、騙されないためにどのような対策をするべきかについては触れていません。(これらについては、ネット上に優れた記事がたくさんあります。)

 

 

 

1. 詐欺メールの内訳

 

届いた詐欺メールには、アカウントとカード情報を抜き取るもの、カード情報を抜き取るもの、サイトへのログイン情報を抜き取るもの、出会い系サイトへ誘導するもの、脅しをかけて不正に送金を要求するもの、があります。

これらの件数の内訳と割合は次のとおりです。

 

【詐欺メールの内訳】

 

【詐欺メールの内訳】

 

アカウントとカード情報を抜き取るもの、カード情報を抜き取るものをあわせて全体の3分の2の113件に達していることがわかります。

その他は、出会い系サイトへ誘導するもの、脅しをかけて不正にBitcoinの送金を要求するものなどでした。この記事では、出会い系サイト誘導と送金要求については割愛します。

 

 

2. 詐欺の対象物

 

このアカウントとカード情報を抜き取る113件について、どのアカウント情報、どのクレジットカード情報を詐欺の対象としているかについて分類してみると、次のようになります。

 

【主な詐欺の対象物】

 

【カード対象物の内訳】

 

圧倒的に、Amazonに関するものが過半数、次いで、楽天に関するものとなっています。また、主要なクレジットカード会社に関するものが見られます。

 

 

3. どこの国からこの詐欺メールはでている?

 

これらの実際のメールには、メール本文の中にクリックする箇所が必ずあります。
そのURLのドメイン情報を調べました。
また、メールヘッダーと呼ばれる部分に、発信者の情報、発信元メールサーバーの情報、メールソフトの情報、日本語文字コードの情報などが記述されています。

 

【メールヘッダーの例 (1)】

 

【メールヘッダーの例 (2)】

 

まともな普通のメールであれば、送信者のメールアドレスからわかる国名、発信元メールサーバーがある国名、本文中のサイトのURLがあらわす国名は、一致することが多いとおもわれます。

ところが、ここで取り上げた詐欺メールは、これらが一致しないことが多いのです。

 

 

 

4. どこの国からこの詐欺メールはでている?

 

メールヘッダーに記載されている発信者のIPアドレス、発信元メールサーバーのURL、本文中にあるクリック誘導のURLのドメイン、それぞれをWHOIS情報をもとに、国名を調査した結果を次に示します。

 

【国別リスト】

 

【送信者メールアドレス(国別)】

 

【発信メールサーバー(国別)】

 

【情報入力先URL(国別)】

 

これらを見る限り、非常に偏っていることがわかります。もちろん調査しても不明なところはありましたので、精度はやや低いですが、それでもおおよその傾向はわかります。

詐欺メールの送信者は、不明を除くと、日本、次いで中国の順です。しかし、本文中の情報を入力させるためのURLは、不明を除くと、中国が圧倒的に一番となっています。
また、どの国のメールサーバーから発信されているかを見ると、日本、シンガポール、米国、ロシア、香港などばらばらです。

 

この結果をひとことでいうと、これらのアカウント・カード情報を詐取するのは主に中国のサイトですが、メール自体は日本から正規に発信されたように見せかけて、シンガポール、米国、ロシア、香港などの第三国のサーバーを経由して追跡しにくくしている、というように見えます。

 

このアカウントとカード情報を抜き取る113件の詐欺メールのメーラーソフトは、大半がMicrosoftのものですが、一部、中国製のFoxmailが使われていました。

 

【詐欺メールのメールソフト】

 

また、メール本文の日本語文字コードは、大半がUTF-8でしたが、中国のGB2312も一部にありました。

 

【詐欺メールの文字コード】

 

これ以上の追跡はしていませんが、やはり中国のまたは中国に関係した詐欺グループが多いと見るのはそれほど外れていないようです。Silent invasion がここにもと考えるのは考え過ぎでしょうか。

 

 

5. 終わりに

 

ここでは、詐欺メールの見分け方の詳細や、騙されないためにどのような対策をするべきかについては触れていませんが、怪しいメールにはじゅうぶん注意しましょう。

怪しいとおもったら、発信者情報(メールアドレス、メールヘッダーに記載してあるメールサーバーのアドレス、発信者のIPアドレスなど)を調べて、本物か偽物の判断をしましょう。

 

(2021-6-2)

 

 

 

なお、本調査で使用した元のデータと図表のまとめ資料については、以下をごらんください。(PWについてはサイト管理者までお問い合わせ下さい。)

 

→  元のデータ (Excel)

 

→  図表のまとめ資料 

 

 

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