• 投稿 2010/07/14
  • 音楽
本田美奈子.と「ひめゆり」

いまからおよそ25年ほど前のことである。当時、私が勤務していたT社では、夏祭りのイベントが行われていた。そのステージに、ひとりの新人女性歌手がいた。彼女の名は本田美奈子(ほんだみなこ)、直接、本人を間近で見たのは、このときが最初で、そして最後であった。デビューしたばかりの彼女が、アップテンポの曲にのって、ステージで歌唱していたのを、いまだにおぼろげながら覚えている。ただ、当時は、実は、あまり興味がなかったのだった。テンポの早い曲、激しいリズムの曲を歌っているという感じがあって、なんとなく、そのままになってしまったのであった。

 

そして、20年の時が流れた。私の耳には、再び彼女の名が入ってきた。しかも、まったく別の形で。2005年11月、ひとりのアーティストが、急性骨髄性白血病で38歳で他界したというニュースが入ってきたのであった。本田美奈子.である。

 

訃報とともに、テレビで特集番組が組まれた。そして、私は、その時、彼女が歌っている「アメイジング・グレイス」という讃美歌を聴いたのである。それはそれは、すばらしい歌声であった。なんだか、心が洗われるような感覚で、聴き入ったのであった。およそ、20年以上前の彼女の姿からは、想像もできないほど歌唱力はすばらしいものであった。また、このことがきっかけとなって、再び、彼女の歌声を聴くようになったのだ。

 

調べてみると、本田美奈子.は、アイドル時代、グループを組んでいた時代、ミュージカルへの挑戦の時代、クラシック音楽との出会いなど、さまざまな経験をし、その時代ごとに、特徴のある歌を残していることがわかってきた。

 

私の好きなジャンルは、その中のミュージカルやクラシックといったところであろうか。特に、「つばさ」や「Time to Say Good Bye」は、声量が必要とされる難しい歌曲であるが、あの小さな体から発せられる歌声は、心を惹きつけられるものであった。

 

そのほかにも、「時」や「見上げてごらん夜の星を」や「Golden Days」など、好きな曲はたくさんある。CDは何枚か、買い求めた。あらためて、いま振り返って見ると、20数年前の歌ごえも、ミュージカルやクラシックに打ち込んだ時代の歌ごえも、どれもすばらしい。低音から高音まで4オクターブの音域の発声ができるというのも知った。

 

もう少し早く、これらのことを知っていたなら、彼女のコンサートを聴きに出かけていたかもしれない。残念である。

 

彼女のコンサートのDVDがあるかどうか、探してみた。デビューした当時から1, 2年のものはあるのだが、ミュージカルに挑戦した時代のものや、それ以降の時代のコンサートなどの映像は、DVDでは残っていないようで、唯一、インターネットの「YouTube」で見るしかないようだ。

 

その中のひとつに「ひめゆり」を歌っているシーンがあった。Blue Spring Club というファンクラブの集いのときのもののようであって、ファンのリクエストに応えるかたちで、彼女が伴奏なしでうたっていた。

 

最近、このミュージカル「ひめゆり」のひとコマをまとめた動画が、ミュージカル座のホームページに掲載されていることがわかった。「生きている」という曲を本田美奈子.が歌唱している。


http://www.musical-za.co.jp/COMPANY/movies/15honda.htm

 

彼女が旅立った後に、残っていた彼女の歌ごえに魅せられ、私はファンのひとりになったようだ。ミュージカルに打ち込んだ時代のひとコマや、クラシックを歌っているコンサートなどの映像があったら、これらをDVDにして販売してほしいと望むのは、私ひとりだけだろうか。いや、もっと多くのファンの方々がおられるに違いない、そう信じている。

 

(2010-7-14)