「ほたる」と道保川公園

相模原の西部、相模川の河岸段丘の崖にあたる部分に、道保川公園(どうほがわこうえん)という自然豊かな公園がある。そこでは、さまざまな植物、野草、草木や野鳥や虫たちが観察できる。

 

相模原は比較的平坦な台地であるが、この公園は台地の縁にあたる地域にある。大地からのわき水が、やがて小さな小川となって流れていき、池に注ぐ。このような様子をつぶさに観察できる場所である。

 

私も何度となく足を運んだ。わが家から近いこともある。散策にはとても良い。いまの季節には、桜をはじめ、大地にはすみれやたんぽぽの花が咲き、色鮮やかである。また、一歩入れば、森林浴もできる。

 


公園のほぼ中央にあるあづまやの付近を望む

 

わき水の付近は湿原になっていて、自然の散策路がつくられている。なかでも、「ほたる」が生育していることは、特筆すべきことである。

 

「ほたるの里」と命名されている双子沢のわき水

 

毎年、6月ごろには、「ほたる」が光りを放ち、飛び回る様子が見られるのである。ほたるは、きれいな水のある場所にしか育たないともいわれる。ここは、貴重な自然の宝庫である。

 

池には、鯉などが生息し、鴨がのどかに泳いでいる様子も見られる。

 

喧騒たる毎日から離れて、心身をリフレッシュさせるのも、必要だなと、最近は特に感じている。

 

ほたるをみていて、幼少の頃の記憶がおぼろげに思い出される。

 

当時はまだ、農作業にも農薬などは使っていない時代だった。自宅(古い農家づくりだった)の周辺に、ちょうど6月頃だっただろうか、夜になると蛍が光っているのがすぐ近くで見えた。

 

だが、田んぼに農薬(粉末)を散布する時代になり、さらにヘリコプターで農薬を空中散布する時代になってからは、まったく見ることがなくなった。ちょうど日本の高度成長時代と重なる。

 

再び、ほたるが話題になったのは、相模原に住むようになり、道保川公園のほたるの存在を知ってからであった。何十年かの時を経て、貴重な自然と再会したのであった。

 

山桜も楽しめる

 

(2009-4-5)