八雲が丘

先日、八雲の地を徒歩で回ってみた。近くの大学での講演会のはじまる3時間ほど前なので、あまり時間をかけることはできなかったが。

 

東京の渋谷から横浜に抜ける東横線の沿線に都立大学という駅がある。そこで下車し、徒歩で北側の丘をめざす。かつては、この丘に東京都立大学(都立大、すでに八王子へ移転し、都立大としては廃校)の校舎があった。学友歌にある八雲が丘のその地は、今は、都民のための団地・アパートと公園に変わってしまっていた。

 

この地を訪れるのは、本当に久しぶりだった。私は、30年ほど前はこの都立大の夜間受講生であった。昼間、働きながら、夜に学ぶという、あのスタイルである。

 

都立大学駅を降りて、丘をのぼっていくと、校門が見える。そのすぐ手前に、小さなラーメン屋があった。当時の学生の間では、xxxx亭として有名だった。私も何度か入った。とても美味しかったことを覚えている。しかし、このラーメン屋も、もう既になくなっていた。

 

校門の脇には大きな立て看板がいつも並んでいたようにおもう。授業は、1、2年のうちはあまり他の大学と変わらないとおもうが、3年以上の専門に進むと、受講生の数が減っていく。わずか3名の学生に1人の教授から授業をしていただいたこともあった。とても感謝している。

 

八雲が丘から、さらに徒歩で10分ほど西に向かうと、かつては都立大の理学部・工学部が入っていた深沢校舎があった。そこへも授業を受けに行ったことが記憶に残っている。しかし、その深沢校舎も、いまはなくなり、跡地には巨大なマンションが林立していた。

 

都立大は、石原都知事により首都大学東京の一部として改編された。そのカリキュラムにも、総合大学でありながら経済学部に相当する分野がないなど、新しい試み(?)をしたものとなっている。もっとも、それ以前に都立大自体が八雲校舎、深沢校舎ともに八王子へ移転してしまったので、いま、八雲・深沢に行ったとしても、昔の風景は道路脇の樹木にわずかながら跡が残る程度であろう。

 

東横線の都立大学駅から、八雲、深沢へと歩き、そこから自由が丘へ歩いて行く道のりは、かつての夜間受講生だった頃のおぼろげな記憶を少しでも呼び戻してくれたような気がする。

 

(2008-9-28)

 

 

最近の同窓会報によると、来年度から首都大学東京にも、経済学のコースが新設されるそうです。

 

(2008-12-4 追記)