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「第四の節目、アメリカの預言」歴史は繰り返す

いま、「第四の節目、アメリカの預言」(The Fourth Turning, An American Prophecy) に注目している。このような考えかたもあるのかと、感心し、またちょっと畏怖の念も感じている。

 

この本は1997年にアマチュアの歴史研究者であるストラウス(William Strauss)とハウ(Neil Howe)によって書かれたものであり、それによれば、世の中は80年から85年の周期で巡り、その周期の中でも、およそ20年ごとに節目があるという。このおよそ80年の周期はサイキュラム(Saeculum)と呼ばれる。

 

また、このおよそ20年ごとの節目は、その年代によって、4つに分けられる。

 

第一の節目が「高揚」(High)とよばれ、近年では1946年から1964年に相当する。
第二の節目が「覚醒」(Awakening)とよばれ、近年では1964年から1984年に相当する。
第三の節目は「分解」(Unraveling)とよばれ、近年では1984年から2004年に相当する。
そして、第四の節目は「危機」(Crisis)とよばれ、近年では2005年から2025年に相当するという。まさに、いま現代は、この第四の節目を迎えているというのだ。

 

これらは、

 

「高揚」→「覚醒」→「分解」→「危機」→「高揚」→「覚醒」→「分解」→「危機」→


というように繰り返される。季節に例えて、「春」「夏」「秋」「冬」とみてもいいかもしれない。この変わり目の時期には、古い秩序が壊され、新しい秩序がつくられていくという。

 

アメリカ(北米)のサイキュラムは、中世以降、この周期を何回か繰り返してきたという。ストラウスとハウは、アメリカのサイキュラムを年代ごとに検証し、次のように分類している。

 

・中世(Late Medieval) 1438年 - 1487年
・改革(Reformation) 1487年 - 1594年
・新世界(New World) 1594年 - 1704年
・革命的(Revolutionary) 1704年 - 1794年
・内戦(Civil War) 1794年 - 1865年
・偉大な力(Great Power) 1865年 - 1946年
・千年的(Millennial) 1946年 - 2026年?

 

これらのそれぞれが、第一から第四の節目の時代にわけられる。

 

それぞれのサイキュラムにおける第四の節目「危機」を見ていくと、


サイキュラム「革命的」(Revolutionary)には、独立戦争から合衆国憲法制定まで(1774年-1794年)の時代が含まれている。

 

「内戦」(Civil War)には、南北戦争とその後(1860年-1868年)の時代が含まれる。

 

さらに、「偉大な力」(Great Power)には、世界恐慌から第二次世界大戦(1929年-1945年)が含まれている。

 

そして、いま現在、サイキュラムは「千年的」(Millennial)(1946年-2026年?)の時代。
同じような大きな危機がくるだろうと、ストラウスとハウは20年前の1997年に予測したのだった。

 

大きな危機とはなにか? リーマンショックによる経済の低迷、国家間の紛争、自然災害など。また、科学技術の進歩による弊害の発生(コンピュータハッキング、原子力関連の事故)など。を指しているのだろうか。要注意である。

 

☆ ☆ ☆

 

一方、この本の中では、「世代」は、生まれたその節目によって運命付けられるという。

 

近年でいえば、

1946年から1964年に生まれた人は、「預言者」(Prophet)、
1964年から1984年に生まれた人は「遊牧民」(Nomad)、
1984年から2004年に生まれた人は「英雄」(Hero)、
2005年から2025年に生まれた人は「芸術家」(Artist)


それぞれ呼ばれるのだそうだ。

 

例えば、1946年から1964年に生まれた「預言者」の人は、その幼年期(0歳から20歳)は「高揚」、若年期(21歳から41歳)は「覚醒」、中年期(42歳から62歳)は「分解」、高齢期(63歳から83歳)は「危機」の節目を過ごすことになる。

 

また、1964年から1984年に生まれた「遊牧民」の人は、その幼年期は「覚醒」、若年期は「分解」、中年期は「危機」、高齢期は「高揚」の節目を過ごすことになる。

 

さらに、この本の中には、これら4つの節目に関わる世相が記述されている。

 

その項目は、家族、子ども育成、性別の役割、理想、機関、文化、社会構造、世界観、社会的優先度、動機付け、ニーズ、将来ビジョン、戦争、などにわたっている。

 

例えば、社会構造では、

「高揚」→「覚醒」→「分解」→「危機」の節目には、「統一」→「分裂」→「多様化」→「圧力がかかる」

という世相になり、
また、例えば、社会的優先度では、

「高揚」→「覚醒」→「分解」→「危機」

の節目には、

「コミュニティ最大」→「個人主義台頭」→「個人主義最大」→「コミュニティ台頭」

という世相になるという。

 

戦争の項目もある。

「高揚」→「覚醒」→「分解」→「危機」

の節目には、

「修復」→「議論を呼ぶ」→「決まらない」→「全面的」

という世相になるという。

 

☆ ☆ ☆

 

この本はおよそいまから20年前に書かれたものであるが、時代の転換期である現代をよく言い表している面が多い。

「サイキュラム」という考えかた、そして、「節目」を鵜呑みにする必要はないが、少なくとも、いまは第四の節目「危機」の時代、古い秩序・価値観がくずれ、新しいものにとって置き換えられる時代、新しい価値観が植え付けられる時代の曲がり角にいる、ということを頭の片隅にいれておかねばならないかもしれない。

 

(2017-2-21)

 

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The Fourth Turning: What the Cycles of History Tell Us About America's Next Rendezvous with Destiny

この本の日本語訳が発売されたようです。
ただ、内容に一部省略個所があるとのこと。
これから確認してみます。

 

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フォース・ターニング 第四の節目

(170401 追記)