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ミニヨンと「君よ知るや南の国」

ふとしたきっかけで、ゲーテのこの詩を想い出していた。

 

それは、中学校時代のある日のことであった。親戚の家にお邪魔したとき、そこの本棚に、学生向けの小説の全集がおいてあった。そこの娘さんは文学少女だったのかもしれない。その本の中のひとつに、「少女ミニヨン」という題名の小説があったのである。薦めに応じて、しばらくその本を借りて読んだことを覚えている。

 

話のあらすじは、よく覚えていなかったが、中に掲載されていた詩のタイトルだけは、記憶の片隅に残っていた。それは、「君よ知るや南の国」であった。もともとの原作の小説のタイトルは「ウィルヘルム・マイスターの修行時代」ということだが、どうも邦訳の「少女ミニヨン」のほうが覚えられやすいらしい。

 

いろいろ調べてみて、昔の記憶を想い出したのだが、主なあらすじは、次のようである。

 

幼い頃に誘拐された少女ミニヨンは、ジプシーの旅回りの一座一行とともに、旅を続けるが、ひどい仕打ちにあわされていた。たまたまその光景を見ていた青年将校のウィルヘルムは、ミニヨンを救う。そして、ミニヨンは自分の身上を語りはじめ、生まれた国で聴いた歌を歌う.......。

 

君や知る、レモン花咲く国、

暗き葉かげに黄金のオレンジの輝き、

なごやかな風、青空より吹き、

銀梅花は静かに、月桂樹は高くそびゆ。

君や知る、かしこ。

かなたへ、かなたへ!

君と共に行かまし、あわれ、わがいとしき人よ。

 

君や知る、かの家。柱ならび屋根高く、

広間は輝き、昼間はほの明るく、

大理石像はわが面を見つむ、

かなしき子よ、いかなるつらきことのあるや、と。

君や知る、かしこ。

かなたへ、かなたへ!

君と共に行かまし、あわれ、わが頼りの君よ。

 

君や知る、かの山と雲のかけ橋を。

騾馬は霧の中に道を求め、

洞穴に住むや古竜の群れ。

岩は崩れ、滝水に洗わる。

君や知る、かしこ。

かなたへ!かなたへ!

わが道は行く。あわれ、父上よ、共に行かまし!

 

実は、最近、この詩のことを調べていくうちに、これが「ミニヨンの歌」として、ミュージカルとなり、上演されていたことを知った。フランスの作曲家アンブロワーズ・トマ Ambroise Thomas (1811-1896) により、歌劇(オペラ)にまでなり、最近では、天地真理(あまちまり)がミュージカルで歌唱している。(実際、YouTubeで見られるものもあった。)

 

この中にでてくる「南の国」は、「故郷」のことであり、故郷を離れて、旅を続けなければならない境遇にある少女ミニヨンのあこがれ(憧憬)を指しているものとおもう。ドイツの詩人ゲーテの作だが、ものすごいインパクトのある詩であった。

 

ジプシー(ロマニーというのが正しいらしいが)もまた、放浪の旅を続けている。そんな時代のできごとに、いまさらながら想いをめぐらせている。

 

(2011-1-4)

 

 

(追記)

 

この「ミニヨンの歌」「君よ知るや南の国」の詩は、もともとはゲーテのドイツ語の詩であったが、歌劇(オペラ)は最初にフランスの作曲家により、フランス語で作られている。また、その後も、オペラやミュージカルがつくられているが、訳詩もいくつかバージョンがあるようである。

 

ゲーテ「ミニヨンの歌」

 

→ こちらのテキストを参照して下さい。(Mignon)

 

 

(References)

 

この記事を書くにあたって、次のサイトを参考にさせていただきました。歌劇(オペラ)や、ミュージカルのあらすじなども紹介されています。

 

http://anotoki.seesaa.net/category/6091736-1.html

 

http://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_3e3f.html

 

http://blog.goo.ne.jp/emerald_plum/e/cda5e85aa46b763581498a28fb13c510

 

http://homepage3.nifty.com/tbd-bake6022/midi/mignon.html

 

http://ww4.enjoy.ne.jp/~aqua98/opera/mignonR2.htm

 

 

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「マドンナの宝石」間奏曲第二番

陽気な明るいテンポの良い曲だな、とおもっていたが、この曲を探しあてるまでに、ずいぶん時間がかかってしまった。

 

たしか、私が中学二年のときの話である。当時、中学校の授業と授業の間の休み時間や、昼休み、放課後などに、校内放送で音楽を流すしくみがあった。生徒の中からも何人かが放送委員会のメンバーに選出され、生徒会の組織として機能していた。私も一時、そのメンバーだった。

 

よくかけていた曲が「マドンナの宝石」というEPレコードのB面の曲だったのである。その曲は、学校の休憩時間のBGM(バックグラウンドミュージック)としては、最適だったようにおもう。

 

中学校を卒業してからは、そのことはすっかり忘れていた。ただ、「マドンナの宝石」という名前と曲の旋律だけは、自分の頭の片隅に記憶とて残っていたのであった。

 

最近になって、ふとしたきっかけで、この曲のことを想い出したのである。

 

最初に行なったのは、もちろん、インターネットでの検索だった。YouTubeで、「マドンナの宝石」と入力してでてくる曲を聴いてみたのだか、どうも中学校時代に聴いたものと違う、という感じがしていた。

 

たしかに、旋律は重厚な美しいものであるが、実際のところ、少なくとも「明るく陽気な」というものではなかったのである。

 

いろいろ調べていくうちに、「マドンナの宝石」とは、イタリアの作曲家がつくった歌劇(Opera)であって、その間奏曲が、一般に「マドンナの宝石」として知られているのだ、ということを知ったのである。

 

どうも間奏曲はふたつあるらしい。特に、よく知られているのが間奏曲第一番とよばれるもので、私がインターネットのYouTubeで聴いたのがそうらしい、とまでわかった。

 

だが、間奏曲第二番とは、どこにあるのだろうか。そして、それはどんな旋律なのだろうか。

 

と、ふたたび、インターネットで探して、ようやく、あるサイトに昔のSPレコードから採録した曲がモノラルの音源で掲載されているのを見つけた。

 

http://www.geocities.jp/matsumo22000/sound101/page99a4.htm

 

それをもとに、英文で再び検索した結果、また、YouTubeにも、英文タイトルで投稿されているものを見つけることができた。

 

◆ WOLF-FERRARI: Intermezzo No.2
https://www.youtube.com/watch?v=yw-8I3dE4hQ&feature=related

 

ようやく見つけた間奏曲第二番、それは、確かに、いままでもう一度聴きたいとおもっていた、あの中学校時代の名曲であった。

 

(2010-11-7)

 

(注)

「マドンナの宝石」(聖母の宝石, I gioielli della Madonna、Der Schmuck der Madonna、The Jewels of The Madonna)はエルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ(Ermanno Wolf-Ferrari (1876-1948))が作曲した全3幕からなる歌劇(オペラ)であると、wikipediaにある。

 

1900年ごろのスペイン統治下のナポリでの、悲恋の物語だそうだ。ヴォルフ=フェラーリの多くのオペラ作品の中で、今日のでその名を残しているものは、悲劇「マドンナの宝石 I gioielli della Madonna」(1911年)からの間奏曲だといわれる。

 

いまでは、オペラ全曲が演奏されることはあまりないらしく、二つの間奏曲、特に第2幕前の間奏曲第一番が親しまれ、コンサートでも単独で演奏されているという。

 

この間奏曲第一番は、他のオペラの間奏曲なとどともに、CD化されているようであるが、一方、間奏曲第二番を収録したCDは、いまではもうないらしい。

 

米国のAmazonのサイトで、mp3のダウンロードサービスを見つけたが、残念ながら、米国内でないとサービスは不可とのことであった。

 

私の知る限り、ここに記した情報が唯一のものである。

 

◆ WOLF-FERRARI: Intermezzo No.2 from The Jewels of The Madonna