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時間旅行

このところ寒い毎日が続き、先日は関東南部にも雪が積もった。風が強く、冷たいが、その分、晴れた夜は星がよく見えるようになった。冬の夜といえば、オリオン座の三つ星と、少し東にあり全天でもっとも明るい恒星であるシリウスが記憶に残っている。

 

子どものころ、冬休みだったとき、雪国で冬空を観察したことを想い出したのだ。たしか、あの頃は木星がオリオンの三つ星の近くにいて、シリウスよりも明るかったな、などと思ったものだった。

 

天文学を正式に学んだことはないのだが、夜空の星をみていられるのは楽しいことであった。中学生の頃、球面天文学の解説書らしきものを、学校の図書館で借りて読んだ記憶がある。難しい三角関数の数式などはさっぱり理解できなかったが、歳差と章動、光行差など「新しい」知識が興味を誘った。恒星まで光でさえ何年もかかるということも知った。

 

本を読んだからといって、どうにもなるものではないが、それでも「子ども心」におもしろさを感じていた。

 

本田美奈子.のアルバムの中に、「時」というクラシックの曲がある。この曲は、過去から未来へと連続した『時」の流れの偉大さを歌い上げている。コロラド渓谷を飛行して撮影した画像(ユーチューブに在った)とあわせてこの曲を聴くと、「いま」は、長い歴史の中のほんの一部分にしか過ぎないことを、あらためて感じてしまう。

 

「時」の偉大さは、天文学にも通じるところがあるのではないだろうか。「いま」見えている夜空の星の光は、何年、何十年も、何百年も前に発せられた星の光であり、「いま」の星の光は、何年も経なければ見えないのだ。こんなことを思いながら、あらためて本田美奈子.の「時」を聴いていた。

 

宇宙旅行は、実際にはまだまだ可能とはいえない。しかし、コンピュータである程度のシミュレーションを行うことはできる。手近なところでは、Linuxのフリーソフトの中に、Celestiaというスペース・シミュレータがある。このソフトをPCにインストールして、「デモ」を動作させてみたことがある。

 

まず、地球から出発して、太陽系の惑星をめぐり、そこから、さらに銀河系の外まで飛行して、星や星雲などを観察し、再び地球に戻ってくる、という「旅行」を体験することができる。本来ならば、気の遠くなる時間、何千年もかかる旅行を、数分のデモンストレーションで行うことができるのだ。「時」の偉大さは、こんなところにも感じられる。

 

宇宙の歴史に比べてもっと短いが、人類の歴史もまた「時」の流れの中にあった。ひとりの人生を考えてみてもそうである。

 

久保田早紀の「異邦人」や、中島みゆきの「時代」という作品をじっくり聴いていると、子どもだった頃を想い出すが、同時にやはり「いま」を考えてしまう。時間旅行は、「時」の流れであり、「いま」という一瞬、一瞬の積み重ねが悠久の歴史をつくるのだということを、あらためておもい知らされている。

 

とりとめのない話になってしまった.......。

 

(2010-2-7)